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炭酸ガスのワールド

炭酸ガスのワールド
ご存知でしたか?実は、炭酸ガス(二酸化炭素)は
多彩な分野で私たちの生活を支えていることを……

昔も昔、はるか46億年前。地球を誕生させた微惑星の中に含まれていたという炭酸ガス。
それは大気のほとんどを組成し、同時に微惑星に含まれていた水蒸気は海を作り上げました。
それから8億年後。炭酸ガスをたっぷり含んだ海水中で、
炭酸ガスを主材料に組み上がった有機物から最初の生命が誕生しました。
そうなんです、太古の時代から炭酸ガスは、私たち人間に大きくかかわっていたのです。
いま、どのように生活、産業に役立っているのか、みてみましょう。

  炭酸ガスと地球温暖化

近年、炭酸ガスが地球温暖化の要因として大きな問題となっていますが、温暖化への寄与度は温室効果ガス全体の約64%を占めているといわれています。大気中に含まれる炭酸ガスの量は現在約360ppmといわれていますが年々増加傾向にあり、この炭酸ガス濃度が2倍に増えると気温が1.5〜4.5℃くらい上昇し、これによって海面は20〜110cm上昇すると予測されています。海面が上昇すると低地や小さな島々が消滅するという深刻な問題の他、人類はもちろん動植物の生態系にも大きな変化を及ぼすといわれ、地球温暖化問題は全世界が共有する深刻な課題となっています。

年間、大気中に放出される炭酸ガスは、人類が関与する化石燃料の消費によるもので約201億トン、森林破壊によるもので59億トン、合計約260億トンといわれ、このうち、日本における炭酸ガスの放出量は12.8億トンといわれています。世界中でこの問題を無作為のまま大気中に炭酸ガスが放出し続けると人類に深刻な影響を与えることから、世界的な地球温暖化防止会議が定期的に開かれ、各国での削減目標が論議されています。会議での目標は、上昇し続ける炭酸ガス濃度を1990年の350ppm程度に削減することといわれています。人類が消費する化石燃料の大半は火力発電所、自動車、各種ボイラー、一般家庭等で消費されますから、そこから排出される炭酸ガスの削減問題は直接エネルギー問題を如何に解決するかにかかわっているといわれています。

さて、日本で産業用に供給される炭酸ガスは年間に約80万トン、その他ドライアイスとして20万トン、合計約100万トンといわれています。この総量は大気中に放出される炭酸ガス総量の0.1%にも満たないものですが、この炭酸ガスメーカーが取扱う炭酸ガスは主として石油化学会社等から直接大気放出されているものを分離回収、精製されて、溶接などの産業用途の他、食品、飲料等、私たちの生活に直接関与する分野にも有効利用されています。

このように大気中に放出されている炭酸ガスの一部は、リサイクルされ、私たちの生活に役立っているのです。(図1参照)
図1 エネルギー循環の流れ

炭酸ガスの削減のために世界中が省エネルギー対策、エネルギーの転換、森林保護と植林のすすめなどに取り組んでいますが、一方では炭酸ガスの固定化技術や深海への溶解技術など多くの研究も行われています。その中には、炭酸ガスとメタンから水素をつくる研究、炭酸ガスを直接分解し、一酸化炭素と水素からメタノールを合成する研究、あるいは炭酸ガスを使って人工光合成によりメタンやメタノールに変換させる研究など、様々な分野で様々な研究を行っていますが、これらには多くのエネルギーを要することが難点となっています。しかし、いずれにしても根本的には、人類が消費する全エネルギーを削減する努力をしないことには解決できないといわれています。

  炭酸ガスの性質

無色無臭で不燃性のガスです。空気よりも重く、水に溶けやすい性質を持っています。また、炭酸ガスは、大気圧の下では通常気体で存在し、圧縮し冷却すると液体になります。その液体を断熱、膨張させ大気圧にすると、約半量の固体(ドライアイス)に変化します。そして、その固体(ドライアイス)は熱を吸収すると気体になります。

  液化炭酸ガスの発生源及び製造方法

・液化炭酸ガス源の主なものには
(1)アンモニア合成工業の副生ガス
(2)重油脱硫用水素プラントの副生ガス
(3)製鉄所の副生ガス……などがあります。

・液化炭酸ガスの製造法
図2のような冷媒による液化法を中心とする液化精製が一般的です。
図のような工程で精製液化、液化炭酸ガスとして貯蔵後、タンク・ローリーや大型容器、中・小容器にて出荷されます。
図2 液化炭酸ガスの製造法

  各種産業に利用される炭酸ガス

炭酸ガスは不燃性で非常に安定しており、この不活性ガスとしての特性を応用し、産業界でも多くの分野で活用されています。

 溶接分野
日本で炭酸ガスが溶接用シールドガスとして使われ始めたのは1950年代半ばからで、1956年以来、名古屋大学教授関口春次郎氏を中心に研究が進められ、1959年、溶接用液化炭酸ガスとしての製造方法と供給体制が確立されました。この溶接方法が炭酸ガスシールドアーク溶接方法であり、これにより溶接時間の大幅な短縮が可能になったほか、当時急成長がはじまった自動車産業に受け入れられ発展しました。その後、鉄骨橋梁や造船の溶接にも導入されたことから、現在では炭酸ガスの最大の需要を占めるようになっています。

 廃水の中和分野
炭酸ガスは地球環境保護にも大いに役立っています。たとえば、アルカリ性廃水の中和剤としての利用方法です。水質汚濁防止法などの法令により、都道府県によって異なりますが、水素イオン濃度(PH値)は、5.8〜8.6の範囲で規定されています。アルカリ性廃液を中和するために塩酸や硫酸を用いると、中和剤の入れ過ぎによる酸性廃水の問題が生じます。炭酸ガスは過剰に用いてもPH値が4以下の酸性になりにくく、金属を腐食させることがほとんどないという利点があります。

アルカリ性廃水には、生コンクリート工場、ダムやトンネル、道路工事現場などからの廃水、清涼飲料メーカーなどの瓶の洗浄による廃水、フィルム現像工場やボイラーの洗浄廃水・・・ 等があげられますが、今後も地球環境を守る上でも重要な用途の一つとなっています。

 冷却・低温流通分野
炭酸ガスは食品や医薬品の流通でも役立っています。

スノー上のドライアイス炭酸ガスが固体になるとドライアイスと呼ばれ、冷却用に利用されます。ドライアイスは−78.5℃という低温であるため、アイスクリームや冷凍食品等の−18℃以下の低温を保つ必要がある商品の配送や、家庭への持ち帰り時の解凍防止用になくてはならない存在です。
 

現在、ドライアイスはブロック状のものが一般的ですが、チョーク状や顆粒状のものもあり、配送時間や保冷温度等の目的に合わせて使い分けられています。ドライアイスが多量に使用される物流センターでは、液化炭酸ガスからスノー状のドライアイスを直接製造し、使用するシステムも現在活躍しています。

  暮らしにかかわっている炭酸ガス

私たち人間や動物の呼吸に伴って排出される炭酸ガスは、吐く息の5〜10%程度。この炭酸ガスは私たちの身近で活躍しています。

例えば、渇いた喉をスッキリうるおしてくれるビールやサイダー、コーラ等の炭酸飲料。グラスに入った炭酸飲料を見ると、小さく透明な泡が下から上へプクプク上がっていきます。ビールはコップの上層に白い泡。その泡の中身は炭酸ガスです。炭酸ガスが水に溶け易い性質を利用し、喉を爽快にします。

ビールの溶解また、テレビや舞台で歌手の足元を流れる白い雲状のもの、これも演出用としてドライアイスが使われているものです。また居酒屋さん等で緑色の小さな容器を見たことがないでしょうか? これは生ビール用。樽に入れられた生ビールを炭酸ガスの圧力で押し出し、ジョッキに生ビールを注ぐために炭酸ガスを使用します。

そして、植物の光合成。植物の栄養源のひとつが炭酸ガスであることは、皆さんご存知と思いますが、炭酸ガスの炭素が植物を成長させ、メロンやトマト、イチゴなどの実になっていくのです。同じ果実でも柿の場合は、渋柿の渋味成分に炭酸ガスを反応させ、渋味を取り除くためにも利用されています。

消火用にも炭酸ガスは一役かっています。一般に燃焼は、物質の発熱による炎を伴う急速な酸化作用のことをいうのです。空気中には酸素が約21%含まれていますが、この濃度を15%以下に下げると、火は消えます。炭酸ガス消火装置(器)は炭酸ガスを放出することによって酸素濃度を15%以下に下げ、燃焼面を炭酸ガスで覆い、酸素を完全に遮断します。冷却効果もあり消火には最適です。

このように私たちの暮らしに炭酸ガスは様々な分野で役立っています。私たちは炭酸ガスがもっと身近になり、有効活用されるようそれぞれの分野で研究を続けています。


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