2021年9月2日現在

医療用酸素について

Q1) 新型コロナウイルス患者への酸素が不足しているという話がありますが、実際のところはどうなのでしょうか?

A1) まず不足することはありません。国内で生産される酸素のうち医療用酸素として使われている割合は1割程度です。医療用酸素は空気から分離し医薬品として製造されます。台風のような自然災害と異なり工場や物流は正常に稼働していますので、医療用酸素自体が不足している地域はありません。

Q2) 医療用酸素ボンベが不足しているという話がありますが、実際のところはどうなのでしょうか?

A2) ボンベは空になると工場に返却されて、また医療用酸素を充てんし病院に配送されるというサイクルが機能している限り不足することはありません。ただし、感染者が急増し療養施設やご自宅で酸素吸入をされる患者さんが増えるとボンベの需要が供給を上回り不足する心配があります。地域によっては、最近の急激な患者増加の影響により、希望する数の酸素ボンベが届かないという厳しい声もお聞きします。一方で、厚生労働省は、医療機関等で医療用酸素ボンベが不足した場合は工業用酸素ボンベを転用することを認める事務連絡を発出しています。

Q3) 医療用酸素ボンベの種類について教えてください。

A3) 病院で使用される医療用酸素ボンベは、鉄製の500リットル入り(膝くらいの高さ)が主に使用されます。これ以外にも1,500リットル入り(腰ぐらいの高さ)や7,000リットル入り(肩くらいの高さ)のボンベがあります。在宅酸素療法では、通院や外出用に鉄製よりも軽量なFRP(繊維強化プラスチック)製の400リットル入り容器が主に使用されます。

Q4) 医療用酸素ボンベの他に、何か器具は必要ですか?

A4) 医療用酸素は高圧で充てんされていますので、使用する際には圧力を下げる器具や流量を調整する器具が必要となります。

Q5) 大規模な酸素ステーションを開設するとなった場合に、どのような医療用酸素設備が必要になりますか?

A5) 一人一人が少量の医療用酸素を吸うだけであれば、在宅酸素療法で使用される酸素濃縮器を病床数分用意することとなります。急性増悪に備えて大流量の酸素も必要ということになると、LGC(可搬式液体酸素容器:一般に使用される500リットル入り容器200本分以上の酸素供給が可能)を用意し、酸素配管を敷設する必要があります。

Q6) 医療用酸素はどこで購入できますか?

A6) 他の医薬品同様、医療用酸素も医師の処方が必要となります。このため医療機関・医師及び法により認められた機関以外の一般の方が購入することは出来ません。かかりつけ医へご相談ください。

Q7) 酸素を吸うとコロナ感染症が治るのでしょうか?

A7) 臨床上の見解はかかりつけ医にご相談ください。

Q8) 市販の酸素缶なども効果があるのでしょうか?

A8) 一般的に、酸素缶の酸素は医療用酸素ではありません。また、その容量はごくわずかであり、多くは数分から10数分しか持続しません。かかりつけ医にご相談ください。

酸素濃縮器について

Q1) 酸素濃縮器はどこで購入できますか?

A1) 酸素濃縮器は特定保守管理医療機器に指定されており、一般の方は購入できません。詳しくはかかりつけ医にご相談ください。

Q2) 酸素濃縮器の酸素と医療用酸素ボンベの酸素とは違いがありますか?

A2) 医療用酸素ボンベに充てんされた酸素は、日本薬局方に規定された製造方法・管理によって製造された医薬品で、その濃度は99.5%以上です。一方、酸素濃縮器で製造される酸素は、医薬品ではありませんが、90%前後の高濃度の酸素ガスです。
また、酸素濃縮器は、周りの空気から酸素を濃縮していますので、電源があれば24時間供給可能ですが、医療用酸素ボンベは、流量にもよりますが、在宅酸素療法用だと数時間で空になります。

Q3) 酸素濃縮器で処置ができる患者は、どういった症状の方々でしょうか?

A3) 本来、酸素濃縮器は在宅酸素療法に使用される医療機器であり、主にCOPD(慢性閉塞性肺疾患)等、肺の機能が損なわれている患者さんに用いられます。