水素は、トラックで輸送する小型容器から700リットルもある長大な容器を20本も集合したトレーラーまで、需要家の要望に応えて各種の容器を使って運ばれています。

小型容器

通常、内容積47リットル以下の容器を指し、充填圧力は14.7MPaです。需要家は1本ずつないしは5本、10本と並べてそれぞれ専用の取り付け口に接続して使用しています。使用量の少ない需要家向け(月間1,000m3程度)が中心です。

カードル

小型容器を20本、30本とまとめて固定された集合容器をカードルと呼んでいますが、充填圧力は14.7MPaと19.6MPaの両方があります。中程度の使用量の需要家が使用している例が多く、月間10,000m3以下程度位が目安でしょう。

小型容器およびカードルは、トラックかユニック車(小型クレーンを装備したトラックのこと)で需要家が使用する場所まで運び、専用の接続口に接続します。

ローダー

大量に使用する需要家は、ローダーと呼ばれる長大容器を10本、20本とまとめた集合容器を使用しています。固定した集合容器を牽引車の台車から引き離してお客様の充填口に接続するタイプをセルフローダー(SR)と言います。SRには滑車が付いていますので、台車から降ろした後、接続口まで自走させられます。

また、集合容器を載せた台車ごと、牽引した車から引き離すタイプのものをトレーラー(TR)と言い、現在、大口需要家はこのタイプが主流です。TRは、台車ごと、接続口に接続されますので、帰りは交換した空容器を持ち帰ることになります。

水素ガスの特性

水素は可燃性ガスであり、空気中の濃度が4%から75%の広い範囲で燃焼、爆発しますので、安全には特に気をつける必要があります。

安全対策

ガスを取り扱う一般的注意事項の他、以下の対策を行うこと。

(1)保管・使用場所での「火気厳禁」「禁煙」の看板を取り付ける。
(2)電気器具は防爆タイプを使用すること。
(3)酸化剤と一緒に貯蔵しない。
(4)周辺に引火性、発火性の物を置かないこと。

緊急時対策

(1)漏洩時:付近の人を避難させ、窓や扉を開け、換気する。
(2)火災時:爆発の危険があるため、すべての人を避難させる。ガス漏れを止められない場合には、噴霧・散水しながらガスが無くなるまで燃焼させる。

輸送上の注意

水素はその特性から、さまざまな規制を受けていますが、特に注意が必要なのは運送車両が海底トンネルを通ることができないということです。

その他

水素にはガス以外に液化水素があります。ロケット用の燃料や将来の水素自動車用燃料として注目されています。