医療用ガスは言うまでもなく医療機関内における重要な位置付けとして扱われています。患者さんへの供給は医療機関に設置されたボンベ室等から中央配管を通して各病棟、手術室等へ供給されています。患者さんの生死にかかわる重要なものですから供給の途絶やガス種の取り違いなどは絶対に許されません。

最近は、高度化する医療の進歩とともに、患者さんが自宅で酸素治療を行いながら療養生活を送る在宅酸素療法や在宅人工呼吸療法といった新たな医療の形態が一般化してきました。特に在宅酸素療法は、医師の処方に従った酸素吸入を自宅にて行うことで、治療しながら健常人と同様の日常生活を実現するもので、80年代後半から90年代にかけて急速に普及しました。患者さんは酸素吸入だけのために入院生活を送らなければならないという不自由から開放され、生活の質、いわゆるQOL(Quality Of Life)向上のチャンスを与えられました。

医療用(在宅酸素)の携帯時のあれこれ

在宅酸素療法(Home Oxygen Therapy:HOT)の患者さんは自宅では酸素濃縮装置や設置型の液化酸素容器(40リットル程度)を使用しますが、それらを持って外出することはできません。通院や散歩などの外出時は携帯用の小型酸素ボンベ(内容積2リットル程度)を持って外出します。また、車や列車内ではもちろんのこと、飛行機(航空会社によって規定あり)や船舶内でも酸素ボンベを使用しながら移動して頂くことが可能ですので行動範囲は健常人の方とほとんど変わることはありません。しかしながら、駅の階段や道の凹凸等、まだまだ障害も多く残されていますので今後、患者さんがさらに満足できる環境を作っていくことが急務です。

また、携帯用の酸素ボンベは酸素濃縮装置等の家庭用装置と同様に健康保険の適用がなされます。ただし、本数単位での適用ではなく、月間一括単位で適用されるため、毎月患者さんが必要なだけ酸素供給業者が酸素ボンベをご自宅まで配送するという形式がとられています。

在宅酸素療法を行う患者さんは、60歳以上の高齢者が多く、機器の操作から安全性まで簡単に認識できるものであるということが大前提となります。特に高圧ガスである酸素ボンベを使用する上で、その特性や火気に対する注意等は繰り返し指導し、事故を起こさないための徹底した安全管理を実施します。また、酸素ボンベをお届けする供給業者側も万一の事故に備えて24時間体制でのフォローアップを行います。

このように常に患者さんの立場に立ち、誠心誠意のサービス体制でそれぞれのニーズにお応えしていくことで供給業者と患者さんとの信頼を築き、より良いサービスの提供が実現できるのです。