はい、違いがあります。
高圧ガスという捉え方では、どちらも同じ高圧ガスなのですが、大きな違いは製造において産業用ガスは高圧ガス保安法のみの規制を受け、医療用ガスはそれに加えて薬事法の規制を受けることです。薬事法の日本薬局方の中には酸素、亜酸化窒素(笑気 )、二酸化炭素(炭酸ガス)、窒素が、ガス性医薬品として収載されています。
この日本薬局方にはガス濃度や性状、確認試験、純度試験、定量法等が定められています。また、液化酸素、液化窒素、30%笑気と酸素の混合ガスなどは日本薬局方外医薬品として承認されたものです。一方、産業用ガスについては、このような決まりはありません。
笑気ガスの正式名称は亜酸化窒素です。「笑気ガス」は、その鎮痛作用を発見したDavyによって命名された「Laughing gas」の和訳です。麻酔にかかった顔が、笑ったように引きつって見えることからつけられたようです。
笑気ガスは鎮痛作用は強いのですが、これのみでは手術や処置を行うのに麻酔のかかり具合が不十分なので、笑気ガスより効果の強い他の揮発性麻酔薬(ハロタン、イソフルラン等)や静脈内麻酔薬(バルビタール剤、麻薬等)を併用投与して、日常的に麻酔に使用されています。
通常大気には、前述の酸素、窒素の他にアルゴン、二酸化炭素、ネオン、ヘリウム等が少量ずつ含まれています。さらには、NOx、SOx等の有害ガスや黄色ブドウ球菌等の日和見感染菌、および水分等も含まれている可能性があります。
人工空気は、酸素と窒素だけを21%:79%の割合で高精度に混合した、不純物・水分の少ない清浄度の高い空気です。
むやみに吸っては危険です。
多くの種類の医療用ガスがあり、中には吸入できないガスもあります。例えば日本薬局方収載の酸素、亜酸化窒素、二酸化炭素、窒素は、用法および容量、使用上の注意、副作用等が決められている薬で、医師の指導のもとに使用されます。