最先端産業から環境保全に貢献する特殊ガス。

特殊ガスと呼ばれるガスの種類は大別して、高純度ガス、半導体材料ガス、標準ガスの3種類に分けられます。その用途は多く、また、産業界に広く使用されています。
特にエレクトロニクス産業や環境保全の測定用等には欠かせないガスです。

高純度ガスとその用途

高純度ガスは、ヘリウム、水素、アルゴン、窒素などをさらに精製し、一定の純度を保証したものです。高感度分析時の校正用ゼロガスや、キャリア用として使用されています。

半導体材料ガスとその用途

半導体産業で使用される半導体材料ガスは、近年ますますその量が増加しています。また、高集積化に伴うプロセスの多様化により、その種類も増え、モノシラン、ホスフィン、アルシン、ジクロロシラン、ジボラン、アンモニア、亜酸化窒素、三弗化窒素、六弗化エタンなど約30種類のガスが、CVD、エッチング、イオン注入、チャンバークリーニングなどの各半導体工程で重要な材料になっています。特に品質は極限までに高純度化されたガスの品質管理が求められ、最高の分析評価にて供給されています。

モノシランは半導体材料ガスの代表的なガスであり、エレクトロニクス用として年間約200トンの需要があります。特に近年ノート型パソコンなどの液晶TFTの需要が高まり、その量的拡大につながっています。さらに、次世代のウエハの大口径化に伴い消費量の増大が予想されます。また、アルシンやホスフィンも近年、携帯電話やカーナビゲーションの移動体通信用、LED用に需要が増加したガスです。

また、三弗化窒素や六弗化エタンがチャンバークリーニング向けに多量に使用されています。

このように多くの種類のガスが近年の移動通信やパソコン用や光ファイバー用の材料ガスに使用されており、このガスが今後のIT革命を下支えする産業ガスといっても過言ではありません。

標準ガスとその用途

主として分析機器の校正用として使用される標準ガスは、すべて指定校正機関が標準物質ごとに濃度信頼性試験を実施しており、信頼性の高い標準ガスです。その種類は現在、環境測定用や自動車排ガス濃度測定用等として亜硫酸ガス、一酸化窒素、二酸化窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、炭化水素類などの9種類の標準ガスがあり、また、分析用などに使用される零位調整標準ガス(空気、又は窒素)、環境用零位調整標準ガス(空気)があります。

さらに、環境保全の観点から、国家計量標準の研究機関と連携しつつ技術調査・安定性試験を実施し、環境測定用標準ガスの種類を増やす研究を実施しています。

また、標準ガスの種類は数百種類以上あり、石油プラント、漏洩検知器の定期校正用、各種分析校正用等、幅広い産業界、研究機関に使用されています。