2024年 年頭のご挨拶

2024.01.05

年 頭 所 感

一般社団法人日本産業・医療ガス協会
 会長     上原 正弘

年明け早々に大災害が発生しました。
「令和6年能登半島地震」で亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますと共に、被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。

謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。

昨年は、新型コロナウイルス感染症が5類に移行したことで経済活動は回復傾向となりましたが、長引くウクライナ侵攻に加えイスラエルとハマスとの対立や世界的な物価上昇、円安の進行等、先行き不透明な状況が依然として続いております。
産業ガス・医療ガス業界においては、エネルギー価格のさらなる高騰は抑えられていますが、物価高により原価アップや景気後退による出荷数量の減少、物流問題、診療報酬・介護報酬のダブル改定など先行きは依然不透明な状況となっております。

JIMGAでは、2023年度より「モノづくりを支え 命を守る、インフラがある。」のキャッチフレーズのもと、
 1.事故の無い安全な高圧ガスの世界の希求、
 2.「もの申す団体」としての発言力の強化、
 3.カーボンニュートラルな社会への挑戦
という3つの活動方針を掲げ活動をおこなっております。

1. 事故の無い安全な高圧ガスの希求

事故事例の情報共有や自主基準の検討・作成、産業ガス及び医療ガスに関するヒヤリハットの集約や、高圧ガス事業者及び高圧ガスユーザーに向けた保安講習の実施等、高圧ガスに関わる事故撲滅を目指した活動を積極的に推進しております。
昨年は、1年間に600人程度の労働災害が発生していると推測されるテールゲートリフターの操作業務者への特別教育の義務化への対応として、JIMGA主催で「高圧ガス容器配送用テールゲートリフター付車両に関する特別教育」を全国約60カ所で開催し、高圧ガス容器を配送するテールゲートリフター付車両を有する事業者/従事者の約600名に本特別教育を受講して頂きました。
2月には「高圧ガスハンドブック第4次改訂版」を発行し、これまでに会員各位だけでなく、行政機関や高圧ガスユーザーの皆様にもご購入頂き、約1600部を販売しております。高圧ガスの取扱いや関連法規をまとめた高圧ガスの事故防止に役立つハンドブックとなっておりますので、さらなる普及に向けた対応を実施してまいります。
また、医療ガスの安全に向けては、医療従事者向けの医療ガス安全講習会では、テキストである「医療ガス・供給機器の取扱いについて」の全面改訂、MGR(Medical Gases Representative :医療ガス情報担当者)制度の更なる拡大、在宅酸素療法(HOT)患者の火災事故の撲滅等に向けての火災予防キャンペーン実施等、高圧ガス事故防止に向けて継続的な対応を行っております。
一方、多発する「大型で非常に強い台風」の接近・上陸や線状降水帯の発生に伴う「これまでにない規模の大雨」による風水災害に対応して、JIMGAホームページでの情報提供や緊急時災害掲示板の開設を実施しております。また、厚生労働省と連携した「在宅酸素供給装置の保守点検事業者及び関連事業者のための緊急・災害対応体制の整備に関する手引書」や、水害対策を考慮した「高圧ガス充填所/貯蔵所の新設/更新に関する指針」を発行しました。今後最も心配される南海トラフ等の大地震や富士山噴火等の広域災害についても、高圧ガス製造事業者・販売事業者で作成しているBCPの情報・状況を取り入れながら、業界団体としての役割として安定供給に資する取り組みを今後とも継続的に模索してまいります。鳥インフルエンザ対応としては、安全・安定した炭酸ガス継続供給に向けて関係各所と取り組でいきます。

2. もの申す団体としての発言力の強化

規制改革案件の実現に向けて関係省庁との折衝を実施しております。昨年は医療用酸素用FRP容器の再検査期間が3年から5年へ延長・統一化が実現しましたが、ASUの遠隔監視/夜間等無人化をはじめ、様々な高圧ガス関連の規制改革案件について、経済産業省や厚生労働省との折衝を継続的に実施しております。また、医療ガス関連の法改正に伴う「添付文書の電子化」や「日本薬局方18改訂に伴う元素不純物への対応」については、事業団体として関係省庁との情報交換や折衝を行いながら、会員各位が適切に法改正へ対応できるように継続的に活動を行っております。
国際整合化対応としては、海外のCGA、EIGA、AIGA、の各産業ガス協会と良好な関係を構築することにより、海外の産業ガスの安全や業務効率化等の技術情報を共有することによって、基準作成の効率化と基準の充実を図ってまいります。本年も多くのIHCプロジェクトへ対応することにより、国際的に協調された基準文書の作成や、国内法を考慮したJIMGA指針を作成し、産業ガスの安全や業務効率化に有用な技術基準を提供してまいります。
一方、発言力強化にむけては、業界の知名度アップも不可欠となります。4月より当協会のホームページ(一般社団法人日本産業・医療ガス協会 (jimga.or.jp))に「高圧ガスのうた~ガスってなぁに~」「高圧ガスのうた~びょういんさんそんぐ~」「高圧ガスのうた~ざいたくさんそんぐ~」の3部作を掲載しました。高圧ガスや医療ガスの安全な取扱いについての歌詞で覚えやすい曲となっています。11月よりMP4形式でのダウンロードも可能となりましたので、是非いろいろな方に聞いて頂き、高圧ガスの安全にご活用頂くとともに、高圧ガス業界及びJIMGAの知名度アップにつなげていきたいと考えております。ホームページには他にも各施策に関する活動報告やガスの知識、高圧ガスの安全に関するコンテンツを多数掲載しています。会員皆様はじめ一般の方々にも興味を持ってもらえる内容となっていますのでぜひご来訪ください。

3. カーボンニュートラルな社会への挑戦

会員各社による高圧ガス製造における原単位削減や水素社会の実現、CO2回収技術等のカーボンニュートラルに向けた取り組みに加えて、各業界への高圧ガスによるカーボンニュートラルへの取り組みを通して、高圧ガスが様々な業界のカーボンニュートラルの実現に不可欠なものであることを積極的に広報してまいります。

当協会では、「機能別組織への再編と諸制度の見直しによる運営合理化、適正化にむけた活動」において、具体的な施策を本年4月より実施していく予定としております。より効率的で合理的な組織にて、各施策に積極的に取り組むことにより、「モノづくりを支え 命を守る、インフラがある。」のキャッチフレーズのもと活動方針の実現を目指してまいります。
本年も皆様のご繁栄とご健勝を祈念申し上げ、新年の挨拶とさせていただきます。