注意喚起

DNSにおける電子署名鍵の変更について

2017.08.21

内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)より経済産業省素材産業課を通じて、DNSにおける電子署名鍵の変更に関する周知・注意喚起の連絡がありましたので、お知らせします。

インターネットの重要資源の世界的な管理・調整業務を行う団体ICANNが、DNS(ドメインネームシステム)を安全に利用するための仕組みであるDNSSECにおいて、電子署名の正当性を確認するために使う鍵の中で最上位となる鍵「ルートゾーンKSK」を更新することを発表しました。この更新は信頼性維持のために行われるものであり、本年9月から新旧の鍵の併用が開始されます。当該更改作業はDNSSECの利用有無にかかわらず、全てのキャッシュDNSサーバが影響を受ける可能性があり、このキャッシュDNSサーバの運用者においては、本年9月19日までに必要な処置が講じられない場合、ウェブアクセスやメール送信などができない利用者が生じる可能性があります。キャッシュDNSサーバの運用者には、インターネットサービスプロバイダの他、幅広い方々が含まれますので、運用あるいは利用されている会員各位におかれましては、以下をご一読いただき、必要に応じて対処いただきますよう、お願いします。

---------------------- 今回のご依頼の詳細 ----------------------

【改変の目的】

DNS(ドメインネーム・システム)は、「www.soumu.go.jp」などのホスト名(人が理解しやすいようにつけたサーバーの名前)を、インターネット上の住所である IP アドレスに変換するために利用される「検索」の仕組みです。この検索結果が第三者の成りすましにより改ざんされないよう、電子署名を付加した「DNSSEC」という仕組みで運用されるのが一般的です。
DENSECにおいては、鍵の危殆化を防ぐため、署名に用いる電子鍵を定期的に改変しています。
鍵は、ドメインの管理単位であるゾーンに署名するゾーン署名鍵"ZSK"とZSKに署名する鍵署名鍵である"KSK"があり、それぞれ、ZSKは3ヶ月ごと、KSKは5年ごとに改変されることとなっています。この度は、DENSECの運用開始後初めてのKSKの更新作業が行われることとなり、本年 7 月~来年 3 月にかけて実施されます。

【鍵の改変に伴い生じる可能性のあるトラブル】

(1) 検索結果の正当性が確認できなくなり、利用者のネット利用に不具合が生じる

「鍵の更改」に追従できず、検索結果の正当性が確認できない(結果として、検索結果が「信用できない」ものとして取り扱われる)ため、web サイトへのアクセスやメールの送信ができない利用者が生じる可能性があります。

(2) 検索結果の受信データ量が増大することから、利用者のネット利用に不具合が生じる可能性がある

「鍵の移行期間」において、「鍵の正当性を確認する情報」や「電子署名」について、旧来の鍵用と新しい鍵用の双方を送受信する必要があるため、当該期間において検索結果として送受信されるデータ量が増大することから、検索結果をインターネット経由で正常に送受信できなくなり、web サイトへのアクセスやメールの送信ができない利用者が生じる可能性があります。

【対応が必要となる者】

DNSを用いた検索を実際に行う「キャッシュDNSサーバー」の運用者全て
例:契約者向けに提供するインターネットサービスプロバイダ、LAN利用者向けに提供する官庁・独法・学校・企業など
※DENSECを無効にしている方も、上記(2)については影響を受ける可能性がございますので、必ずご確認ください。

【必要となる対応】

2017年9月19日までに以下の措置をお願いいたします。

(1) 「鍵の更改」に追従するために、
①「キャッシュ DNS サーバー」のソフトウェア(一般に「BIND」又は WindowsServer を利用)を最新版に更新する(今回の対策だけでなく、脆弱性への対応のためにも、最新版への更新は必須。)。
②「キャッシュ DNS サーバー」において、「DNSSEC のトラストアンカーの自動更新」の設定を行う。
③念のため、「キャッシュ DNS サーバー」において、「DNSSEC」が有効になっており、また「DNSSEC の検証」が有効になっていることを確認する。

(2) 「鍵の移行期間」のデータ量増大に対応するために、
①「キャッシュ DNS サーバー」において、UDP 受信サイズを 4096 バイトの検索結果が受信できる設定(RFC6891 による推奨設定)を行う。
②「キャッシュ DNS サーバー」において、「dig コマンド」などを使い、4096オクテットの検索結果が受信できるか確認する。
③不明点がある場合には、運用委託先や上位 ISP に問い合わせを行う。

※(2)②の確認については、以下のような確認方法がございます。

<使用しているDNSサーバーが4096オクテットの検索結果を受信できるか確認例>
・WEBでの確認例 http://keysizetest.verisignlabs.com/
・コマンドラインでの確認例 dig +bufsize=4096 +short rs.dns-oarc.net txt

なお、詳細につきましては、以下のリンク文書およびWEBサイトも併せてご確認いただきますよう、お願いいたします。
総務省周知依頼文書
DNSにおける電子署名鍵の変更について

【JPRS】ルートゾーンKSKロールオーバーによる影響とその確認方法について
https://jprs.jp/tech/notice/2017-07-10-root-zone-ksk-rollover.html

【ICANN】Root Zone KSK Rollover
https://www.icann.org/resources/pages/ksk-rollover

【問い合わせ先】
     内閣官房内閣サイバーセキュリティセンター
        重要インフラグループ 齊藤、佐藤、川上   03-3581-8903
        政府機関総合対策グループ 石黒、久保山   03-3581-3959
     内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室
        電子行政班 大平、川口   03-3581-3467